研究者情報
水谷 泰彰

脂肪酸代謝とエネルギー代謝の関係解明に基づくパーキンソン病の創薬基盤構築

氏名: 水谷 泰彰
職位: 講師
所属: 藤田医科大学
脳神経内科
分野: 創薬
キーワード: パーキンソン病, エネルギー代謝系, 脂質, 体脂肪, 短鎖脂肪酸, 腸内細菌叢, リン脂質
研究メンバー: 水谷 泰彰 講師、東 篤宏 助教、前田 利樹 助教、長尾 龍之介 助教、
島 さゆり 講師、渡辺 宏久 主任教授

パーキンソン病(PD)は、全身性の疾患であり、ミトコンドリアやプリン代謝系などエネルギー代謝系の異常を認める。一方、脂肪酸を中心とする広範な脂質の異常も報告されている。しかしながら、エネルギー代謝系と脂質との関係は未解明である。脂質の中でも脂肪酸はミトコンドリアのエネルギー源として、またβ酸化の材料として重要な役割を果たし、特に短鎖脂肪酸の減少は腸内細菌叢の変化とも密接に関連する。臨床的にも脂肪酸の異常は、体重や体脂肪の減少と関連して疾患の発症や進行に係わっている可能性がある。

今回、我々は高品質な疾患レジストリデータを用いて、髄液と血漿を用いて短鎖脂肪酸および長鎖脂肪酸を含むリン脂質を網羅的に解析し、ATP (プリン体) 代謝経路を中心とするエネルギー関連バイオマーカーとの関係性を明らかにするとともに、臨床指標、基礎代謝量、体脂肪量などの体組成成分への影響、腸内細菌叢や代謝物との関係、更に疾患の進行に関連する髄液ならびに画像バイオマーカーとの関係を検討する。この網羅的なデータを用いて脂質系とプリン代謝系において変動する物質間の数理モデルを構築し、脂質、特に脂肪酸の変化がエネルギー代謝に与える影響をシミュレーションし、その是正が創薬につながるターゲットを探索する。

脂肪酸の変化が引き起こすエネルギー代謝障害とPDの病態(作業仮設)

共同研究者

本学消化器内科学、医科プレ・プロバイオティクス講座、泌尿器科学、食養部、臨床検査部、オープンファシリティーセンター(前田康博 准教授)、量子研(徳田隆彦)